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発酵する生き方 その1。 [食]



千葉県の造り酒屋「寺田本家」の、「むすひ(musubi)」。
アルコールがダメで、お酒があまり好きでなかったぼくが、初めて
 「おいしい!」と思ったお酒。

とはいえ、万人にオススメはしない。
特に日本酒好きの人には。

今の日本酒は、米を磨けば磨くほどよいとされている。
磨く、とは精米のこと。

だが、この「むすひ」はそれに反し、精米しない。
なんと、発芽玄米のお酒なのだ。

なので、このお酒はとても複雑な味がする。
独特の酸味と、飲むたびに変わる味。
初めて飲んだ人は大抵ビックリする。

そしてもう一つの大きな特徴は、酵母が生きているということ。
寺田本家の蔵にいる酵母(蔵付酵母)が、このお酒造りの主役
 である。



先日、寺田本家社長の寺田啓佐さんからお話を伺うイベントに
 参加してきた。
谷中の豆料理店「Beans Kitchen」による企画。

寺田本家の酒造りはちょっと変わっている。

いや、本当は他が変わった造り方をしているのだけど。
酷いと、三倍に水で薄めてアルコールを添加し、薄くなった味を
 糖類や化学調味料等で誤魔化すという造り方(三増酒)をする。
本来なら「日本酒」とは呼べないであろう、紛い物。
「日本酒はベトベトして悪酔いする」というのは、これのせい。

けれど、1960年代日本酒の大手銘柄ブーム頃にはそんな酒造り
 が当たり前のように行われていた。

寺田さんも、寺田本家への婿入り当初はその三増酒を造っていた。
転機は、日本酒が売れなくなったことと、寺田さんが腸の腐る病気
 になったこと。

それ以来、自然酒造りにシフトチェンジすることになる。

「むすひ」には、無農薬不耕起栽培のお米が使われている。
それを今までの常識に反して、精米歩合100%で造る。
造り方は、なんと伊勢神宮の古代酒の資料にヒントを得たという。

水と蒸米と麹とを、人の手によってすりつぶす「山卸」を行う、昔ながら
 の「生酛造り」。
蔵にいる乳酸菌を取り込みじっくりと発酵させ、仕込みの酛となる元気
 で力強い「酒母」ができる。

すべての行程に、相当な時間と労力が掛けられている。
効率の悪い、儲からないお酒。
けれど、生命力に溢れたお酒。
みんなに喜ばれるお酒をつくろう!という寺田さんの思いが、「むすひ」
 を生み出した。

そしてその酒造りの中で、寺田さんは酵母等の微生物たちから多くの
 ことを学ぶことになるのである。

「発酵」は、ぼくらを幸せに楽しく生きるための重要なキーワードになる。

 …続く。
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